結核でお悩みの方への力になることが使命

当院には結核病棟があり、西宮市で長年に渡り結核の方への治療を行ってきました。
一般の人は、結核といえば時代劇や戦後のドラマで、咳が続いた後、血を吐いている最後を迎える。結核は“悲劇の病”として、多くの文芸作品でも描かれています
しかし、今や結核は治る病気なんです。
それでも、この病気で心を痛める人が多い。
そんな人の力に私たちは成りたいと日々医療に励んでいます。

結核はきちんと薬を飲めば治ります。

正しい知識があれば怖くありません。
早期発見、早期治療です。そして、きっちりと治すことがとても大切なのです。
こころから少し結核について述べます。
公益財団法人 結核予防会 結核研究所の資料を引用しています。

結核とは

結核とは「結核菌」という細菌が直接の原因となって起こる病気で、結核菌が起こす「おでき」のようなものと考えていいでしょう。

最初は炎症から始まります。肺ならば肺炎のような病気です。
(肺の表面近くに病巣ができれば、炎症の結果生じた浸出液は肺を包んでいる胸膜からしみ出して胸膜炎となります)。

結核菌は肺に巣食うことが多いのですが、人体のいろいろなところ(臓器)にも病気を起こします。
初期の炎症が進むと、やがて「化膿」に似て組織が死んで腐ったような状態になります。この状態の時期が肺結核ではかなり長く続き、レントゲンなどに写る影の大半がこの状態の病巣です。

その後死んだ組織がどろどろにとけて、気管支を通して肺の外に排出されると、そこは穴のあいた状態になります。これが空洞です。
空洞の中は空気も十分にあり、肺からの栄養もあるので結核菌には絶好のすみかとなり、菌はどんどん増殖します。空洞をもった結核患者が「感染源」になりやすいのはこのためです。

このような病巣からの菌が肺の他の場所に飛び火したり、またリンパや血液の流れに乗ったりして、他の臓器に結核の出店を作ることもあります。

こうして結核は肺全体、全身に広がって行きます。そして最後には肺の組織が破壊されて呼吸が困難になるとか、他の臓器の機能が冒されるとかして生命の危機を招くことになります。

公益財団法人 結核予防会 結核研究所

結核のうつり方

私たちが普通に会話をしているときにも、肺の奥から目に見えないシブキが吐き出されます。
「ゴホン!」と1回咳をすると、ふつうの会話のときの5分間分にあたる大量のシブキが放出されるといいます。
たまたまこの人が肺に結核の病巣を持つ人であった場合には、このシブキの中に結核菌が含まれていて、これが近くにいる人に吸い込まれると感染を起こすのです。
このシブキの中の結核菌は、早く吸い込まれないと日光のなかの紫外線に殺されてしまいます。

ですから、結核感染は、検査で菌が痰の中に大量に証明される人が咳をしている場合に、そのそばにいる人(家族とか親しい友人とか)に対して起こることが多いのです。
食器などの物を介して結核がうつることは決してありません。

公益財団法人 結核予防会 結核研究所

結核をなくすには、またDOTSとは

感染→発病→感染→・・・という連鎖が結核という感染症の広がる仕組みなので、それを断ち切ることが結核対策の基礎です。そのために次のような手だてが行われます。

1)BCG接種:感染を受けても発病しないように免疫をつける。主として子供に行われます。
2)化学予防:感染を受けたことが分かった人に、発病を防ぐために薬をのませる。対象はやはり子ども、若者です。
3)患者発見:発病してしまった人をできるだけ軽いうちに発見して治療につなげる。

健康診断や医療機関の受診が含まれます。
長期に及ぶ呼吸管理の必要な患者さん、その他障害を抱え長期入院を余儀なくされている患者さんが多く、自分から苦しみや痛みを訴えることが難しいため、常に患者さん・ご家族に向き合い、みんな明るく心のこもった看護・介護を提供できるよう日々頑張っています。

公益財団法人 結核予防会 結核研究所

当院での取り組み

  1. 先に述べたように、まず結核に対する知識を深めてもらいます。
    結核教育を行っています。結核を知ってもらうことで、患者さん自身がこの病気と向き合い、どのように治療を受けることが大切なのかを患者さま自身に理解してもらいます。
  2. 薬についての理解してもらいます。
    結核の治療で一番重要なことは、薬を確実に飲むことです。飲み忘れたり、中断してしまうことで、病気が悪化します。私たちは、その手助けを行っています。
  3. 日常生活のお世話です。
    結核になることで、様々な症状がでます。それにより、心身の安静がとれないことあります。患者さまの健康な体への回復のお手伝いを行っています。
  4. 長期入院へのお手伝い
    結核になると、外出制限があります。それによるストレスは多大なものです。
    そのストレスと向き合っている患者さまと共に日々日常生活を過ごすことで、患者さまの良き理解者としての務めを果たしています。
  5. 患者様の退院支援
    結核の治療は少なくとも3か月以上はかかります。
    その間の経済的な不安は欠かせません。地域連携の方と協力して、公的な補助も含めた案内を行い、一日も早い退院に向けた支援を行っています。

結核の治療を行うことは、病院の使命として取り組んでいます。
人にうつすと病気とされていますが、結核以外にもうつる病気はたくさんあります。
たったその中のひとつの病気です。
正しい対応で毎日過ごしている私たちは、元気に谷向病院で勤めております。
一人ひとりが元気になるよう私たちはその使命を果たして行きたいと考え医療に取り組んでいます。